数馬酒造

かずましゅぞう

『竹葉』『ちくは』

石川県鳳珠郡能登町【蔵元:数馬嘉一郎】

『竹葉(ちくは)』醸造元 数馬酒造は、明治2年(1869年)創業。江戸時代より、味噌・醤油の醸造を生業としておられましたが、その仕込み水が酒造りにも適していたことから、酒造りも始められました。(現在は地元の学生たちと、味噌や醤油の製造も再開されました)。

また、「竹葉」という名前の由来は、仕込み水に使っていた笹川の上流に生い茂る笹の葉に因んだものであり、また古来より「竹葉」は酒の別称として呼ばれていることも命名の由来とのこと。(こちらは“ちくよう”と呼びます)

蔵の目と鼻の先に宇出津漁港があり、醸造蔵の3階からは、富山湾の雨晴海岸からとはひと味違った、立山連峰の壮大な容姿を眺めることもできるそうです。(こんな場所で仕事ができるなんて、何とも羨ましい限りです!)

蔵を案内して頂いたのは、数馬嘉一郎蔵元。ズバリ!酒造りのモットーは・・・の質問に、応接室に飾られた額縁を指差し、「米を磨き、蔵を洗う。心を磨き、酒を醸す。」

これは、出来る限り良い原料を高精白で、清潔な環境の中でみんなが笑顔で楽しめるお酒を醸したいという、先代の想いが込められているとのこと。いろいろお話をしている最中のお二人も、作業をしておられる従業員の皆様も本当に笑顔♪このアットホームな雰囲気が、ほっとどこか心を落着かせてくれるお酒を醸す理由なのかもしれません。

目指すお酒の味わいは「食中酒として飲み飽きしないお酒。」もうこれ以上飲めないと思っていても、なぜか自然と手が伸び、もう1杯が飲めるお酒。本醸造以上の特定名称酒はもちろん、燗にしても旨い普通酒も同等にそうあって欲しいと願っておられました。

また、話の中で、実は以前、なかやすの店の前を通り過ぎようとした、近くに住むおばあちゃんが、“あんたの店、竹葉置いとんがけ。私、若いときにお医者はんから、体調子悪いんがやったら、竹葉飲まれ!ゆうて言われたことあんがいぜ。”と話されたことをお尋ねしてみると、昔、目の前の宇出津港から船で高岡までお酒を運んでいたことがあるとのこと。(数馬さんといい、宗玄さんといい、何かしら富山にご縁があるようです)

白藤酒造店

はくとうしゅぞうてん

『奥能登の白菊』『おくのとのしらぎく』

石川県輪島市鳳至上町【蔵元杜氏:白藤喜一】

とっても笑顔が素敵な白藤ご夫妻。この若い夫婦が力を合わせて酒造りをしています。生産量はかなり少ないですが、いつか沢山の人に支持され、立派な蔵になることは間違いありません。

1722年に海鮮問屋として創業された老舗ですが、いつの頃からか酒蔵になり、今のオーナーで9代目だそうです。言葉は控えめで穏やかな優しい蔵元ですが、酒造りに対する自信と意欲は並々ならぬものがあります。

若奥様は農大で醸造学を究めてきた才媛。蔵では「麹屋」と言って、麹造りを担当しています。酒造りに麹は一番大切な課程です。その心臓部を若奥様が担っています。彼女は、大学の学科を選択するのに、醸造を選んだのは「微生物の世界は平和に見えたから」だそうです。人間と平和に共存できそうだから選んだそうです。芯のある一面を見せてくれました。

仕込み水はすぐ裏にある山の湧水を使用。能登沖の震災で水質が変わらなかったのかと聞いてみましたが、金沢大学の先生の調査でも問題ないということでした。試飲と一緒に出てきた水は、柔らかく(軟水)甘味すら感じるまろやかな味でした。これならお酒が美味くなるわけです。

この蔵の特徴として挙げられるのが、純米吟醸の量が他の蔵と比べてとても割合が多いということです。なぜかと聞きましたら、白藤酒造店の純米吟醸は他の蔵と比較して、特別個性があるから需要も多いとのことでした。確かに辛口仕立てでありながら上品な甘さがマスクされていて飲む人を心から魅了してしまうお酒ではあります。

成る程ですね。上品な甘味を持った綺麗で優雅な酒です。このあたりが酒造りのプロから絶賛される蔵の所以でしょうか。

御祖酒造蔵

みおやしゅぞう

『遊穂・ほまれ』『ゆうほ・ほまれ』

石川県羽咋市【蔵元:藤田美穂 杜氏:横道俊昭】

藤田蔵元「うちの蔵は、伝統がないだけに好きなことができるんです♪昔ながらの味を守る必要もないですし。だからこの遊穂を横道と一緒に造ることができたんですよ!」

ムッチャ陽気で軽快な社長、藤田蔵元と何とも楽しい横道杜氏のコンビを訪ねて羽咋まで行きます。相変わらず明るい。こんな気持ちの良い酒蔵はあんまりありません。ココで出きるお酒は間違いなく、陽気で明るいと想像がつきます。飲んだ人も愉快になること請合いです。

遊穂の酒造りを取り仕切るのは、関西出身の横道俊昭杜氏。“琵琶の長寿”、“菊姫”、“常きげん”、“利休梅”などの有名酒蔵を経て、御祖酒造に来られました。いつもにこやかでユーモアのセンスもある好漢という印象ですが、酒造りには妥協は一切なく、常に新しいことにチャレンジするバイタリティがあります。

藤田蔵元も横道杜氏も日本酒の味にとってこれから必要なのは“程よい酸味”だとおっしゃっています。それは2人が初めて出会ったとき、藤田蔵元が『心地よい酸味と旨みのバランスがとれた日本酒が造りたい!』と話したのを聞いて、横道杜氏が『この人となら一緒に酒を造っていけるっ!』と、確信したくらいに、お互いに酸味にはこだわりがあるようです。確かにこの遊穂というお酒を飲むと、北陸のお酒らしくないと思われるかもしれません。しかし今の時代、食生活は確実に変わってきています。日本酒を飲みたい全ての人たちが、お刺身などの魚料理中心の和食と合わせたいわけではないと思うんです。豚肉や鶏肉などの肉料理、そしてチーズをアレンジした洋食風なお料理を食べるときにも、日本酒がそこにあってもいいんじゃないでしょうか。そんなときにも楽しめるお酒が、この『遊穂』なんです。

宗玄酒造

そうげんしゅぞう

『宗玄』『そうげん』

石川県珠洲市宝立町【蔵元:徳力 暁 杜氏:坂口幸夫】

『宗玄』醸造元:宗玄酒造は、明和5年(1768年)創業。

日本を代表する四大杜氏(越後・南部・但馬・能登)のひとつとして認知されている能登杜氏発祥の蔵とも言われており、奥能登最大の酒蔵として、地元をはじめ、石川県内・全国の左党にも愛され続けています。また、昔は船で富山までお酒を持ち運んでいた歴史があったり、高岡市内には、宗玄姓を名乗る宗玄家から分家された方がおられたりと、何かと富山には結びつきの強い酒蔵でもあります。

宗玄酒造は、山田錦100%の本醸造や純米、純米吟醸、大吟醸などの小仕込みの特定名称酒を醸す「平成蔵」と、地元に根強いファンが多い普通酒を中心に醸す「明和蔵」の二つで構成されています。

一般的に宗玄というお酒は“甘口の代表酒”というイメージを強く持たれている方が多いかもしれません。確かに地元では肉体労働者の方が多く、へしこや漬物など、比較的塩辛い食べ物を好まれていたために甘口のお酒が主流でしたが、平成10年以降は、一部の四段仕込みの普通酒を除き、時代の変化(特に食事)とともに、口当たりの柔らかい辛口系のお酒に徐々に変わってきています。

能登の伝統を受け継ぎ、しっかりと守りながらも、時代の変化に合った美酒を醸し続ける宗玄酒造。これからも能登杜氏発祥の地に恥じない“宗玄酒”を私達に提供してくださるに違いありません。

■奥能登を代表する旨い酒『宗玄』

日本四大杜氏のひとつ、能登杜氏。名だたる名杜氏を輩出している杜氏集団としてご存知の方も多いと思います。農口尚彦研究所の農口杜氏、開運の故 波瀬杜氏、満寿泉の三盃杜氏など、数多くの銘酒を世に送り出し、確固たる地位を確立した立役者と言っても過言ではありません。そして、この偉大な杜氏の名声を引き継いだのが宗玄酒造の坂口杜氏ではないでしょうか。

全体のバランスが良く、味がしっかりのっていながらも、心地よいキレイな旨味を感じさせ、杯が進んでも全く飲み飽きしない酒質は、波瀬杜氏が醸していた開運と相通じるものがありました。是非新鮮な海の幸と楽しんでいただきたいお酒です。

吉田酒造店

よしだしゅぞうてん

『手取川・吉田蔵』『てどりがわ・よしだぐら』

石川県白山市安吉町【蔵元杜氏:吉田泰之】

創業150年となる吉田酒造店。数年前に代替わりした泰之蔵元が酒蔵のすべてを取り仕切っています。

この泰之蔵元。普通の蔵元とは全く違う感性の持ち主で酒業界に旋風を巻き起こしそうな予感です。伝統の格式を重んじる「手取川」シリーズ。昔ながらの技法をしっかりと守りながら現代に合う味わいに仕上げています。

そして、注目すべきは「吉田蔵」シリーズ。富山県内ではなかやす酒販が唯一の取り扱いとなっております。こちらは、革新的な挑戦を続けるシリーズです。すべての原料米を地元の契約農家とともに作り、仕込み水は白山の百年水を使用。醸造方法も昔からの伝統技法である「山廃仕込」で造られます。

手取川のお酒はどれもこれも綺麗なお酒です。スムーズで爽快。「どうだ、うちのお酒は旨いだろう!」って、押しの強い酒でなく、芯はあるけれど香りも控えめでお料理に寄り添うようなお酒です。

蔵訪問当日は吉田泰之蔵元自ら蔵を案内していただきました。近年、石川県内では飛ぶ鳥を落とす勢い!と評判の『吉田蔵』ですが、今回の訪問でその理由が分かったような気がします。

“なにより、細部へのこだわりが凄いっ!”のです。美味しい酒さえ醸していれば、後は大丈夫・・・ということではなく、酒は醸されて半分という考えから、その後の火入れ、貯蔵、流通における品質管理には、これでもか!というまで惜しみなく投資し、最新の注意を払っておられることに大変感銘を受けました。蔵の全てを隠すことなく(この大事な時期に麹室まで)見せていただき、これからも手取川の酒質は益々向上し、多くの日本酒ファンを魅了し続けることを確信したのは言うまでもありません。

『SAYS FARM』T-marks

『セイズファーム』ティーマークス

富山県氷見市余川字北山【代表:釣 吉範  醸造責任者:田向 俊】

SAYSFARM ~セイズファーム~は、寒鰤で有名な港町富山県氷見市にある、古く江戸の頃より続く魚問屋が始めた全国的にも珍しいワイナリーです。休耕地を開拓し2008年春に植樹を行い、2011年より自社製造所を建設、長野県東御のヴィラデスト ワイナリーの協力の元、醸造を開始しました。

原料を100%自社農園のみとし、品種はシャルドネをメインとしながら、ソーヴィニョン・ブラン、メルロ、カベルネ・ソーヴィニョンなどのヨーロッパを代表するぶどう品種を栽培しています。

数々のコンクールやワインコンペティションで受賞するなど、日本ワインの中でも注目です。アルバリーニョやピノ・ノワールの栽培も始めました。

しかし、今ではその造られるワイン全てが出荷と同時に完売するというほどの人気ぶりになり、なかなか手に入りにくくなりました。

少しずつではありますが、販売しておりますので、ぜひ一度ご賞味下さい。

生産本数も畑の栽培面積に合わせ、徐々に増えていっています。それでも自社畑のみでの栽培にこだわりを持っています。その理由はひとつ。「氷見の食材にあう、ワインはこの土地で栽培されたぶどうから」という信念があるからです。

おいしい酸味がじゅわっと楽しめる白ワイン。ボルドーやラングドックのような気品や厚みのあるワインとは違い、この土地らしい繊細でチャーミングな赤ワインを造り出します。SAYS FARMのワインは、土地にあった味わいが楽しめます。

これからも、魚の都 氷見で、ドメーヌにこだわり「北陸の生む美しいワイン造り」を信念に、“富山でワイン?美味しいワインなんて無理でしょ?” という方々にこそ驚いて頂けるようなワイン造りに取り組む『SAYSFARM ~セイズファーム~』を今後ともどうぞ宜しくお願い致します。

トレボー株式会社

トレボーかぶしきがいしゃ

『Dmaine Beau』『ドメーヌ・ボー』

富山県南砺市立野原西【代表:中山安治 醸造責任者:松倉一矢】

2017年開業の新しいワイナリー。弊社なかやす酒販の会長 中山安治が立ち上げました。

100年続くワイナリーを目指して「農業×科学」を哲学とした全く新しい醸造所です。

トレボーとは「美しいワイナリー」という意味で、美しいというのはバランスが良いということでもあり、真実とか善を表します。

土壌は全体的に粘土質です。雨も多いですが、それも美味しいワインを造るのに多分良い影響をもたらしてくれると考えています。その上で、その土地から生まれるぶどうの味わいを尊重し、それがそのままワインになると考えています。

トレボー株式会社は、IoT、AI、5G、ぶどうファーモ、通信技術などの先端技術を農業とワイン造りを科学しています。また、自立した6次産業化の推進、農林水産省からも総合化計画(6次化)認定企業でもあります。

トレボーは2つの大学の研究者やIoT、AI、通信に長けた企業の指導支援を受けて作業の効率化や労働生産性の向上だけでなく、AIを駆使し空からドローンと陸上からローバーを繋ぎ、畑の情報収集や無人での農作業、鳥獣害対策に活用されていて、鳥獣が畑に近づいてきたら追い払うというのでなく、潜在的に畑の周りにいる鳥獣害をこちらから近づいてこないよう先手を打つことを考えています。

2020年初リリースとなりました。自社ぶどう園から収穫されたワイン「タテノガハラ」シリーズ。買付ぶどうのワイン「セシボン」シリーズなど、これからが注目のワイナリーです。

弊社では常時トレボーのワインを販売する予定です。

ぜひ応援をお願いいたします!

吉乃友酒造

よしのともしゅぞう

『よしのとも』

富山県富山市婦中町【蔵元:吉田憲司 杜氏:廣島達彦】

日本の屋根、北アルプスの峰々を一望する富山平野のほぼ真ん中に位置する婦中町下井沢地区。この地は、北アルプスの万年雪を源にした伏流水が豊富に湧出する一大水源地となっています。水質はやや軟水、吉乃友の優しい純米酒造りにはもってこいの水です。

吉の友酒造は一貫して「純米酒」にこだわり続けています。純米酒は第一印象は無骨に感じますが、飲むにつれてその良さがジワッと出て来ます。

吉乃友酒造の酒造りを取り仕切る、廣島杜氏は、愛知県出身。前杜氏の元で同じ吉乃友で蔵人として働いておられました。「純米100%仕込みでお酒を造っています。」吉乃友の杜氏としてしっかりと個性が出てきておられます。それでも、初心を忘れず、常に試行錯誤を繰り返しながら今年もいろいろとチャレンジされています。直近では「后-kisaki-」シリーズをリリースし、720mlで50,000円の商品も完成しました。これからのさらなる活躍が益々楽しみです。

銀盤酒造

ぎんばんしゅぞう

『銀盤・剱岳』『ぎんばん・つるぎだけ』

富山県黒部市荻生【蔵元:山岸 逸人 杜氏:荻野久男】

日本の名水百選の内4つがある富山県。その一つの黒部・新川地区、湧水群がありあちらこちらから豊富な湧水に事欠きません。銀盤は黒部川の清水を仕込み水として近代設備を駆使し、熟練の技を生かし端麗で膨らみのある優しいお酒を造ります。

大量生産のためにはコンピューターの導入が欠かせないが、コンピューターの頭脳は、杜氏の頭脳がそのまま入っています。

データも杜氏の経験が数値化されて入力されているので、機械化されても手造りに劣らぬ旨さを造り出すことが出来ると自信を見せます。

純米大吟醸「米の芯」は、その名の通り精白度が高く、「甘、辛、酸、苦、渋」の五味のバランスがよいです。コストパフォーマンスに優れた純米大吟醸「播州50」の香りと風味の調和は、快い音楽を聴いているような気持ちの良さがあります。

魚津酒造(旧 本江酒造)

うおづしゅぞう

『帆波・名誉北洋・蜃気楼の見える街』『ほなみ・めいよほくよう』

富山県魚津市本郷新町【蔵元:田中 文吾 杜氏:坂本克己】

魚津市唯一の酒蔵 魚津酒造。2022年に本江酒造から名称を変更理新たにスタートしました。

前会社の本江酒造より引き受けた田中社長が「魚津に新しい酒蔵を」と声を上げ、様々な協力者のもと酒造りが行われています。

限定流通「帆波」シリーズのほか、地元に愛された「北洋」「蜃気楼に見える街」も生産されます。特に限定流通の「帆波」シリーズは近代日本酒の一般的な日本酒度「プラス(辛口)」ではなく、やや「マイナス」を狙って造られています。そのおかげで「ほんのりお米の甘さを感じつつも、キレのある酸味で後口はサラリ」としています。それが本当にうまい!きりっと辛い酒ばかりが多い中で、この味はファンになる方も多くいると思いますので、ぜひお楽ください!魚津酒造のお酒は、料理を打ち負かすことなく調和していくお酒を狙いながら、どこの蔵とも違う個性をも打ち出しています。それぞれのお酒が、四季折々の海の幸の味覚にたまらなく馴染んでいます。