はくとうしゅぞうてん
『奥能登の白菊』『おくのとのしらぎく』
石川県輪島市鳳至上町【蔵元杜氏:白藤喜一】
とっても笑顔が素敵な白藤ご夫妻。この若い夫婦が力を合わせて酒造りをしています。生産量はかなり少ないですが、いつか沢山の人に支持され、立派な蔵になることは間違いありません。
1722年に海鮮問屋として創業された老舗ですが、いつの頃からか酒蔵になり、今のオーナーで9代目だそうです。言葉は控えめで穏やかな優しい蔵元ですが、酒造りに対する自信と意欲は並々ならぬものがあります。
若奥様は農大で醸造学を究めてきた才媛。蔵では「麹屋」と言って、麹造りを担当しています。酒造りに麹は一番大切な課程です。その心臓部を若奥様が担っています。彼女は、大学の学科を選択するのに、醸造を選んだのは「微生物の世界は平和に見えたから」だそうです。人間と平和に共存できそうだから選んだそうです。芯のある一面を見せてくれました。
仕込み水はすぐ裏にある山の湧水を使用。能登沖の震災で水質が変わらなかったのかと聞いてみましたが、金沢大学の先生の調査でも問題ないということでした。試飲と一緒に出てきた水は、柔らかく(軟水)甘味すら感じるまろやかな味でした。これならお酒が美味くなるわけです。
この蔵の特徴として挙げられるのが、純米吟醸の量が他の蔵と比べてとても割合が多いということです。なぜかと聞きましたら、白藤酒造店の純米吟醸は他の蔵と比較して、特別個性があるから需要も多いとのことでした。確かに辛口仕立てでありながら上品な甘さがマスクされていて飲む人を心から魅了してしまうお酒ではあります。
成る程ですね。上品な甘味を持った綺麗で優雅な酒です。このあたりが酒造りのプロから絶賛される蔵の所以でしょうか。